院長コラムCOLUMN

マダニについて

マダニ

マダニは他の吸血昆虫と違い、動物の肌を「噛んで」皮下に血液溜りを作り、その後にギザギザの歯を差し入れて吸血します。このギザギザの歯を差し入れる時に唾液を分泌するのですが、その唾液の中にウイルスが含まれているのではないかと考えられています。

マダニ対策として、動物用には色々なタイプの予防薬が販売されています。まずは量販店で販売されている「マダニを寄せ付けない」タイプ。マダニの好まない匂いを付けて近寄らせないという考え方のようです。いわゆるおまじないの類です。

次に動物病院で処方されるものをご説明します。

動物病院で処方されるマダニ予防薬について

首輪タイプ:外出時に首に括り付けます。効果はかなりのものですが、動物に対する副作用が出やすいとされています。

スポットタイプ:首筋に垂らし、皮膚から吸収させることで通常一か月ほど効果が持続します。マダニが皮膚の上を這いまわるうちに薬の効果で死んでしまうものと、皮膚に噛みついた時点で死んでしまい吸血させないものとの二通りの薬があります。

投薬タイプ:投薬によって一か月は効果を持続し、噛みついたマダニを吸血する前に殺してしまいます。特に皮膚の弱い犬や、マダニが大量に発生する地域で効果を発揮するようです。今のところ、犬などの動物が「重症熱性血小板減少症候群」ウイスルによって亡くなったという報告はありません。また上に書いたように、最初の一噛みではウイルスは体内に入らないと考えられていますので、動物病院処方のマダニ予防薬であればウイルスの心配は無用と考えています。

以上の点から、犬や猫を外に出す時には必ずマダニ予防を済ませておくこと、外から帰った犬猫を家に入れる時には、体にマダニが付着していることを予想して、しっかりとブラシや掃除機を使って汚れを落とし、犬猫の持ち込んだダニで万が一でも人が噛まれることの無いよう注意することが重要です。

北海道でのマダニの状況について

北海道でのマダニの状況ですが、問題になった「重症熱性血小板減少症候群」ウイスルを媒介したとされるマダニはフタトゲチマダニという種類で、北海道、特に道東ではほとんど確認されないくらい少なく、大勢を占めるのはヤマトマダニとシュルツェマダニの二種類と言われています。しかし「重症熱性血小板減少症候群」ウイスルを持つマダニがフタトゲチマダニだけと確認されたわけではありませんので、道東にお住まいの方たちも十分ご注意ください。

北海道十勝における、マダニの発生時期は4月から9月頃までです。犬や猫を外に連れ出す機会の多い飼い主さんは、ぜひマダニ予防をペット病院にご相談ください。

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