院長コラムCOLUMN
健康診断のすすめ
最近、健康診断や予防医学に関心を示される飼い主さんが増えてきている気がします。
そこで今回は健康診断(定期検診)について書いてみます。
我々は診療の現場で、病気の動物しか診ていないわけではありません。一見健康そうな子たちもたくさん来院します。飼い主さんから[先生!うちの子は体調崩したこともないし、健康でしょ?」と聞かれることもしばしばです。そんなときは返事に困ってしまいます。
はたして本当に健康なのでしょうか?
人間も含めて動物が健康か、あるいは病気なのかは見た目では判断がつきません。みなさんがご存知のように、それこそ気が付いた時にはもう手遅れという場合も少なくはないのです。
病気の早期発見が大切
病気の早期発見により適切な処置を施すことで動物たちが完治、あるいは快適な状態での延命の可能性がたかまることは間違いありません。
たとえば腎臓という臓器は、無症状でも血液検査の数値が正常値よりもわずかに高くなった時点で健康な組織は1/4しか残っていないと言われています。
心臓は咳や呼吸の異常が症状として現れる前に、聴診器をあてるだけで小さな雑音を発見することが可能です。
このようなわずかな異常を発見し、症状がまだ出ていない段階から薬物療法や食事療法を始めれば、明らかにその動物の延命につなげることができます。
どのくらいの期間に健康診断を受けたほうがいい?
動物の1年は人間の数年にあたります。つまりワンコやニャンコであれば1年に一回の検査は、人間では約4年に一回検査していることになるのです。当然1年間で検査結果が劇的に変化することも少なくありません。半年から少なくとも1年に一回は定期的に健康診断を受けることをおすすめします。
健康診断というのは[見た目に元気な動物が受ける検査」です。表に出にくい異常を的確に見つけて動物の生活を向上させ、より良い状態で延命する最初の一歩です。